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VO2maxの上げ方|HYROXのタイムとの関係と、効果が確かめられたインターバル

HYROXはランが合計8km、その間に8つの種目が入るレースです。速く完走するために大事な力のひとつが、体に酸素を取りこむ力を表すVO2max(最大酸素摂取量)です。この記事では、VO2maxとは何か、HYROXのタイムとどう関係するのか、どんな練習で上がるのかを、研究論文をもとにわかりやすくまとめました。

結論

  • VO2maxは体に取りこめる酸素の最大量。高いほど、きつい運動を長く続けられる
  • HYROXの選手を調べた小さな研究では、VO2maxが高い人ほど完走タイムが速いという関係が見られた
  • VO2maxはゆっくり長く走る練習でも、インターバル(HIIT)でも大きく上がる。HIITの上乗せは小さい
  • 代表的なメニューは4分×4本のインターバル。きつい練習は週2〜3回が目安

VO2max(最大酸素摂取量)とは

日本スポーツ振興センターの資料では、VO2maxは有酸素的に出せるエネルギー量の最高値で、大きいほど高い強度の運動を長く続けられる、と説明されています。単位は体重1kgあたり1分間に取りこめる酸素の量(mL/kg/分)で表します。

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、30歳男性の平均は37mL/kg/分くらいで、エリートの長距離選手は90mL/kg/分にも達します。また、VO2maxは健康とも関係が深く、死亡率やいろいろな病気のかかりやすさとも強く関係する体力とされています。

HYROXのタイムとVO2maxの関係

2025年に発表された研究(Brandt氏ら)では、HYROXの経験がある市民選手11人にレース形式で走ってもらい、体力の数値と完走タイムの関係を調べました。

  • 参加者のVO2maxの中央値は51mL/kg/分、完走タイムの中央値は86.5分
  • 調べた項目の中で、完走タイムといちばん強く関係していたのがVO2max(高い人ほど速い)
  • 持久系のトレーニング量が多い人ほど速く、体脂肪率が高い人ほど遅い傾向もあった
  • レースの約8割の時間は、とてもきつい強度だった

研究チームは、HYROXは持久力が大事で、最大筋力の重要さは中くらい〜低めの競技だとまとめています。ただし、11人だけの小さな研究で、VO2maxを上げればタイムが縮むと証明したものではない点には注意が必要です。

VO2maxはどれくらい上がる?

28の研究、723人をまとめた分析(Milanović氏ら、2015年)では、次のような結果でした。

比べたもの VO2maxの差
持続的なトレーニング(一定のペースで長く)vs 運動なし 約4.9mL/kg/分 上がった
HIIT(インターバル)vs 運動なし 約5.5mL/kg/分 上がった
HIIT vs 持続的なトレーニング HIITのほうが約1.2mL/kg/分 多く上がった

どちらの練習でもVO2maxは大きく上がり、HIITのほうが少しだけ上がりやすい、という結果です。別の分析(Bacon氏ら、2013年)では、週3回以上、6〜13週のインターバルトレーニングで、長めのインターバルほど伸びが大きい傾向がありました。

伸び方には個人差もあります。家族を対象にした大きな研究(HERITAGE)では、トレーニングでのVO2maxの伸びやすさには遺伝の影響もあることがわかっています。

代表的なメニュー:4分×4本のインターバル

VO2maxを上げるメニューとしてよく知られているのが、ノルウェーの研究チーム(Helgerud氏ら、2007年)が使った4分×4本のインターバルです。

4×4インターバル

  • 4分間、最大心拍数の90〜95%で走る
  • 3分間、最大心拍数の70%くらいでゆっくり走って回復
  • これを4本くり返す
  • 研究では週3回、8週間

この研究では、ある程度トレーニングしている男性40人を4つのグループに分け、運動量をそろえて比べました。4×4のグループはVO2maxが約7.2%、15秒走って15秒休むインターバルのグループは約5.5%上がり、ゆっくり長く走るグループや、乳酸閾値(少しきつい一定ペース)のグループより効果が大きいという結果でした。

ただし、2026年のネットワークメタ分析(Held氏ら)では、インターバルの組み方の違いによる差ははっきりせず、続けやすさや自分のレベルに合わせて選ぶべき、としています。4×4が唯一の正解というわけではありません。

週に何回やればいい?

持久系のトップ選手の練習を調べたSeiler氏(2010年)は、きついインターバル練習は週2回くらいで十分な効果が出るようだ、としています。トップ選手でも、週10〜14回の練習のうち、きつい練習は2〜3回です。

HYROXの練習には、ジムでのステーション練習や、きつめのワークアウトも入ってきます。きつい練習ばかりにならないように、週全体で調整しましょう。きつい練習とゆっくりした練習の配分については、Zone2トレーニングの記事で詳しく紹介しています。

腕時計のVO2maxはどこまで正しい?

GarminなどのランニングウォッチはVO2maxの推定値を表示してくれます。Garminの技術を担当するFirstbeat社によると、トレーニング中の心拍数と走るスピードの関係から計算しています。

14の研究をまとめた分析(Molina-Garcia氏ら、2022年)では、運動中のデータを使う腕時計の推定は、集団の平均ではほぼ合っているものの、一人ひとりで見ると誤差が大きいという結果でした。また、Garminの時計を調べた研究(Engel氏ら)では、ほどほどに鍛えている人では正確でしたが、かなり鍛えている人では低めに出る傾向がありました。

腕時計の数値は、ほかの人と比べるより、自分の数値が上がっているか下がっているかを見るのに使うのがおすすめです。

まとめ

VO2maxはHYROXのタイムと関係が深い体力で、ゆっくり長く走る練習でも、インターバルでも上がります。まずは週の練習の土台となるランをしっかり積み、そこに4×4などのインターバルを週1〜2回入れていくのが取り組みやすい形です。

参考にした情報(2026年10月6日確認):日本スポーツ振興センター 最大酸素摂取量/厚生労働省 e-ヘルスネット 最大酸素摂取量/Brandt et al. Frontiers in Physiology (2025)/Milanović et al. Sports Medicine (2015)/Bacon et al. PLoS One (2013)/Bouchard et al. HERITAGE (1999)/Helgerud et al. Med Sci Sports Exerc (2007)/Held et al. BMC Sports Sci Med Rehabil (2026)/Seiler, IJSPP (2010)/Firstbeat Fitness Level/Molina-Garcia et al. Sports Medicine (2022)/Engel et al. European Journal of Applied Physiology

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