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Zone2トレーニングのやり方|強度の決め方とHYROXの練習への取り入れ方

Zone2(ゾーン2)トレーニングは、会話ができるくらいのゆっくりしたペースで長く運動する練習です。ランニングの世界で人気がありますが、効果についての意見は研究者の間でも分かれています。この記事では、Zone2とは何か、どうやって強度を決めるか、HYROXの練習にどう取り入れるかを、研究と専門家の意見をもとにまとめました。

結論

  • 一般にいうZone2は、会話ができるくらいの楽な強度(乳酸がたまり始める手前)
  • 持久系のトップ選手は、練習回数の約8割を低い強度で行っている
  • ただし、Zone2がいちばん効果的な強度だという根拠は今のところ弱く、練習時間が少ない人はきつい練習も大事という意見もある
  • 強度は、心拍の計算式よりトークテスト(話せるかどうか)のほうが手軽で外れにくい

Zone2とは

2025年に発表されたレビュー(Storoschuk氏ら)によると、一般にいわれるZone2は、乳酸閾値より下の低い強度の運動のことで、次の3つの考え方で説明されることが多いです。

  • 脂肪がいちばん多く使われる強度
  • 最初の乳酸閾値(血中の乳酸が約1.7〜2.0mmol/L)のすぐ下
  • 楽に会話を続けられる強度

ちなみに、Zone2という言葉は使う人によって意味が違います。ノルウェーのオリンピック連盟が作った5段階のゾーンでは、Zone2は最大心拍数の72〜82%くらいです。一方、研究でよく使う3段階のゾーンでは、Zone2は少しきつい閾値あたりの強度を指します。記事や本を読むときは、どの意味で使っているかを確認しましょう。

なぜZone2が注目されているのか

Zone2をすすめている代表的な人が、運動生理学者のイニゴ・サン・ミラン氏です。この強度では乳酸の生産と処理のバランスがとれていて、脂肪がほぼ最大に使われ、ミトコンドリア(体のエネルギー工場)をきたえる刺激として強力だ、と主張しています。

一方で、2025年のレビュー(Storoschuk氏、Gibala氏ら)は、今の研究では、ミトコンドリアや脂肪を使う力を高めるのにZone2が最適な強度だとはいえない、と結論しています。Zone2をすすめる意見の多くは、エリート選手の練習を観察したデータから来ていて、Zone2がもっと高い強度より優れているという確かな根拠は見つからなかった、としています。また、練習時間が少ない人の健康のためには、Zone2より高い強度の運動を優先することが大事だとしています。

ただし、このレビューは一般の人向けのすすめ方についてのもので、エリート選手が低い強度で大量に練習することを否定しているわけではありません。

トップ選手の練習は8割が低い強度

持久系のトップ選手の練習を調べたSeiler氏(2010年)は、練習の約80%が低い強度(血中の乳酸2mmol/L以下)で、約20%がきつい練習だったと報告しています。この80%は時間ではなく、練習の回数の割合です。

このように、楽な練習とかなりきつい練習に分けて、中くらいの強度を減らす方法をポラライズドトレーニングといいます。

研究 対象 結果
Stöggl氏ら(2014年) 鍛えた持久系の選手48人、9週間 ポラライズドのグループがVO2peakの伸びがいちばん大きかった(約11.7%)
Silva Oliveira氏ら(2024年) 17の研究、437人のまとめ ポラライズドはVO2peakの伸びでわずかに有利。ただし12週未満で、よく鍛えた選手の場合。タイムトライアルの結果は差がなかった
Muñoz氏ら(2014年) 市民ランナー、週約4時間、10週間 10kmのタイムの伸びはポラライズドが大きめだったが、はっきりした差ではなかった
Festa氏ら(2020年) 市民ランナー38人、週約3時間、8週間 別の配分でも同じくらい伸び、練習時間は17%少なくてすんだ

練習時間が週3〜4時間くらいの市民ランナーでは、ポラライズドが特に優れているとはいい切れません。HYROXに出る人の多くは仕事をしながら練習しているので、低い強度の練習を土台にしつつ、きつい練習もきちんと入れるのが現実的です。

Zone2の強度の決め方

トークテスト(いちばん手軽)

アメリカの運動協会ACEが支援した研究では、換気閾値(息が急に荒くなる強度)より下なら、ふつうは楽に話せて、その強度になると楽に話せるかどうか微妙になる、とされています。文章をしゃべっても息が切れないペースを目安にしましょう。話しにくくなったら、少しペースを落とします。

心拍数で決める

心拍数を使うときは、まず最大心拍数が必要です。よく使われる220から年齢を引く式は、若い人では高めに、年齢が上がると低めに出やすく、個人差(標準偏差)は1分間に7〜11拍もあります(Tanaka氏ら、2001年)。可能なら、レースや全力の練習で出た心拍数の最大値を使うほうが正確です。

安静時の心拍数も使うカルボーネン法では、次の式で運動の強度を出します。

運動強度(%)=(運動中の心拍数-安静時の心拍数)÷(最大心拍数-安静時の心拍数)×100

MAF法(180公式)

コーチのフィル・マフェトン氏が提唱している方法で、180から年齢を引いた心拍数を上限にします。病気やケガ、練習の状況によって±5〜10拍で調整します。提唱者の経験から作られた方法で、研究で正しさが確かめられたものではありません。

HYROXの練習で気をつけること

同じ心拍数でも、種目によってきつさが違います。55人の男性を調べた研究(Yoshiga氏ら、2002年)では、ローイングの最大心拍数はランより低く出ました。SkiErgを調べた研究(Nelson氏ら、2021年)でも、最大心拍数はランより低い結果でした。ランで決めた心拍ゾーンをローイングやSkiErgにそのまま使うと、思ったよりきつい練習になっている可能性があります。

また、HYROXの選手を対象にZone2の量を調べた研究は見つかりませんでした。週に何時間のZone2が必要と言い切れる根拠はないので、まずはトップ選手の約8割が低い強度という配分を目安にするのがよさそうです。

運営者メモ

運営者は、HYROXの練習を始めた最初の1〜1.5か月は、家の近くの1kmのコースを使ってベース作りの練習をしました。今は週に1回HYROXのジムに通い、日曜日は完全休養日にしています。

まとめ

Zone2は会話ができるくらいの楽な強度で、持久系の練習の土台になります。ただし、Zone2だけがいちばんいいという根拠は弱く、練習時間が少ない人はきつい練習も大事です。楽な練習を土台にしながら、VO2maxを上げるインターバルなども組み合わせていきましょう。

参考にした情報(2026年10月6日確認):Storoschuk et al. Much Ado About Zone 2, Sports Medicine (2025)/Seiler, IJSPP (2010)/Iñigo San Millán/San Millán & Brooks, Sports Medicine (2018)/Stöggl & Sperlich, Frontiers in Physiology (2014)/Silva Oliveira et al. Sports Medicine (2024)/Muñoz et al. IJSPP (2014)/Festa et al. Frontiers in Sports and Active Living (2020)/ACE トークテスト/Tanaka et al. JACC (2001)/健康長寿ネット 心拍数/Phil Maffetone 180 Formula/Yoshiga & Higuchi, Eur J Appl Physiol (2002)/Nelson et al. Journal of Exercise and Nutrition (2021)

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